認知症の概要

認知症(Dementia)とは、一度正常に発達した脳の認知機能が、何らかの病気や障害によって持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたす状態をいいます。

主な特徴
記憶障害だけでなく、判断力・思考力・言語・見当識(時間や場所の認識)などが複数の領域で障害される。
進行性の場合が多い(特にアルツハイマー病など)。
高齢者に多いが、若年でも発症する場合がある(若年性認知症)。

主な原因疾患
アルツハイマー型認知症(最も多い)
血管性認知症
レビー小体型認知症
前頭側頭型認知症 など

認知症の診断基準

A. 以下のいずれかによって証明される、1つ以上の認知領域における著明な認知機能低下:
本人・家族・臨床家による顕著な低下の訴え
標準化された神経心理検査、または臨床評価による明確な低下の証拠

B. 認知障害が日常生活の自立に支障をきたしている。
(例:買い物、金銭管理、服薬管理、家事などが一人でできない)
C. 認知障害はせん妄(急性の意識障害)の経過中にのみ起こるものではない。
D. 他の精神疾患(うつ病、統合失調症など)では説明できない。

認知症の治療方法

認知症は多くの場合、完全に治すことは難しいですが、進行を遅らせる・症状を和らげる・生活の質(QOL)を保つことが目標になります。

(1) 薬物療法
・コリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン)→ アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症に有効
・NMDA受容体拮抗薬(メマンチン)→ 中等度~重度アルツハイマー型に使用
・抑うつ・不眠・興奮などの随伴症状に対して抗うつ薬・睡眠薬などを必要に応じて使用(慎重投与)

(2) 非薬物療法
認知リハビリテーション(記憶訓練、回想法など)
環境調整(迷子防止、転倒防止、生活動線の工夫)
運動療法・趣味活動による脳刺激
家族支援(介護負担軽減、情報提供、相談窓口の活用)

(3) 予防・進行抑制のための生活習慣
バランスの良い食事(地中海食・和食)
定期的な運動
社会的交流
慢性疾患(高血圧・糖尿病など)の管理