日本で働く精神科医のほとんどはDSM(アメリカ精神医学会が発表している診断基準)あるいはICD(世界保健機構WHOが発表している診断基準)に基づいて診断をしています。
双極性感情障害(躁うつ病)の概要
気分の浮き沈みの反復を特徴とする精神疾患です。躁状態とうつ状態を繰り返します。
躁状態では自信満々となり、睡眠時間が減り、色々とアイデアが生まれ、多弁になります。うつ状態では、気分が落ち込み、自信がなくなり、過食or食欲低下などの症状が出ます。
躁状態が目立たない場合はⅡ型といい、躁状態が激しく出てくる場合はⅠ型といいます。
DSM(アメリカ精神医学会の診断基準)では次のようになっています。
双極性感情障害(躁うつ病)の診断基準
以下の①または②を満たすこと。
① 以下のような躁病エピソードが4日~7日以上続く。
ⅰ自尊心の肥大、または誇大
ⅱ睡眠欲求の減少(例:3時間の睡眠で十分だと感じる)
ⅲ多弁(しゃべり続ける)
ⅳ観念奔逸(考えが次々に浮かぶ)
ⅴ注意散漫
ⅵ性欲が高まり、仕事や勉強で意欲が必要以上に高くなってしまう
ⅶ痛ましい結果を招く可能性のある活動への熱中(浪費、無謀な性行為、無計画な投資など)
② 以下のようなうつ状態がある。
ⅰ抑うつ気分(悲しみ、空虚、絶望感)
ⅱ興味または喜びの著しい減退
ⅲ体重の大きな変化、食欲の変化
ⅳ不眠または過眠
ⅴ焦燥感
ⅵ体が動かなくなる
ⅶ疲労感または気力の減退
ⅷ自分に価値がないように感じる
ⅸ罪悪感を感じる
ⅹ思考力や集中力の低下、決断困難
ⅺ死にたい気持ち、死にたいと感じる、自殺しようとしたことが実際にある
双極性感情障害(躁うつ病)の治療方法
①投薬治療:気分安定薬、睡眠薬、抗うつ薬、抗精神病薬などを使います。気分の浮き沈みを抑える気分安定薬がベースになると言われていますが、患者さんごとに処方内容はかなりバラエティーに富みます。
②環境調整:仕事・異動・周囲の協力を得るなどの患者さんの置かれている環境を整えます。
③カウンセリング:心理士さんなどと話を通して治療をしていきます。
ADHD(注意欠陥多動症)と双極性感情障害(躁うつ病)とうつ病の違い
双極性感情障害(躁うつ病)は明らかな躁状態とうつ状態があれば診断しやすいですが、ほとんどの場合は他疾患との区別が難しいです。
①うつ病と双極性感情障害(躁うつ病)の違い
精神科・心療内科に通院し始めたときはうつ病と診断されていたのが、後々双極性感情障害(躁うつ病)と診断が変わることがあります。うつ病を繰り返し、病歴を詳しく聞いていくと軽い躁状態エピソードがあることが分かり双極性感情障害(躁うつ病)と診断名が変更されるわけです。うつ病と診断された3割の患者さんが後に双極性感情障害(躁うつ病)と診断が変更されるといわれるほど鑑別が難しいです。うつ病と診断した後も経過を注意深くみていかなければいけません。
②ADHD(注意欠陥多動症)と双極性感情障害(躁うつ病)との違い
うつ病と双極性感情障害の違いはよく知られていますが、双極性感情障害とADHDも意外と鑑別が難しいのです。ADHDは不注意・衝動性・多動性を主体とする精神疾患ですが、気分の浮き沈みも激しい人が多く、万能感にあふれるくらい元気なときがあれば、その数時間後に気分が落ちこむことがあります。この気分の浮き沈みの激しさが双極性感情障害と似ているため鑑別が難しいですし、ADHDと双極性感情障害を合併している方もいます。経過をみながら投薬しADHDなのか双極性感情障害なのか時間をかけて鑑別していきます。
心理テスト
ADHD・双極性感情障害などの心理テストがあるので参考にします。
