不眠症の概要
不眠症(Insomnia Disorder)は、眠ろうとしても眠れない、夜中に何度も目が覚める、早朝に目が覚めてしまうなどの睡眠の質や量の低下が続き、日中の生活に支障をきたす状態をいいます。
特徴としては:
単発的なストレスや環境変化で一時的に起こる場合(急性不眠)と、3か月以上続く慢性不眠がある。
睡眠時間だけでなく、「眠りの満足度」や「日中の活動への影響」が診断のポイントになる。
成人の約20〜30%が一時的に不眠を経験するとされ、慢性不眠は約10%程度。
不眠症の診断基準
A. 以下のいずれか、または複数が週に3回以上、少なくとも3か月続いている:
入眠困難(寝つきが悪い)
中途覚醒(夜中に何度も目が覚める)
早朝覚醒(予定より早く目覚め、その後眠れない)
B. 睡眠障害によって日中の機能に影響が出ている(疲労感、集中困難、気分の落ち込み、作業能率低下など)。
C. 睡眠時間を確保する機会があるにもかかわらず生じている。
D. 他の睡眠障害(睡眠時無呼吸症候群など)や精神疾患、身体疾患、物質の影響では説明できない。
不眠症の治療方法
(1) 非薬物療法(第一選択)
不眠症の治療は生活習慣の改善と認知行動療法(CBT-I)が基本です。
就寝・起床時刻を毎日そろえる。
寝床では「寝る」以外の行動を避ける(スマホ・TVなど)。
カフェイン・アルコールの摂取を控える。
日中の適度な運動。
認知行動療法(CBT-I):睡眠に対する誤った考えを修正し、睡眠習慣を整える科学的アプローチ。
(2) 薬物療法(必要に応じて)
睡眠薬(ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系):短期間の使用で症状を緩和。
メラトニン受容体作動薬:体内時計を整える。
オレキシン受容体拮抗薬:自然な眠りを促す。
※長期使用は副作用や依存のリスクがあるため、医師の指導のもと最小限に使用。
(3) 原因疾患の治療
うつ病・不安障害、慢性疼痛、呼吸器疾患などが背景にある場合は、その治療が重要。
